英国風カレー

高輪に変わったカレー店がある。メニューはただ一つ、ビーフカレーのみ。看板には「お水は一切出しません」と書いてある。カウンターだけの小さな店だ。座ったら目の前にカレーが運ばれてきた。胚芽米にスープのようなさらさらとしたカレーが盛りつけられている。ビーフカレーだが、具はない。まずは、そのスープを口に運ぶ。あ、辛い。結構辛い。しびれるような厳しい海(カレー)と、至福の大地(ご飯)の組み合わせだ。水が欲しくても出て来ない。辛い。やや拷問に近いカレースープを先に口に運びながら、ご飯を最後に取っておく。でないと、この辛さが永遠に続くのは酷だ。この時間から早く解放されたい。食事というより修行に近い錯覚を覚える。スプーンの移動が驚異的に加速する。途中、意識が遠のいたが、気持ちを確かに持って口へ。そして最後はご飯で中和させる。医食同源をコンセプトとした店のようで、その後冷たい飲み物を取らないように諭された。ただ、食後に出てくる「抹茶アイス」は謎だ。ツッコミは出来なかった。その直後、近くの喫茶店でアイスコーヒーとパニーニを注文。既に掟破りだ。

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